拒絶の理由を発見しないから

その責めに帰することができない理由でブログを書いています

誰も人の話を聞いていない

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 学校(小学校~中学校くらい)で学ぶべきことは何か。それは,人の話を聞くことと,言われたことをやることである。なぜなら,職業に就くと,これができないために大けがをしたり命を落とすことがあるからだ。従って学校ではとにかく人の話を聞くように言われなければならないし,言われたとおりに事を進められるかを厳しくチェックする必要がある。

 従って科目教育というのは単なるバリエーションにすぎず,本質は言われたとおりにできるかどうかを確認するための気の長い営みの一部である。この目的を達成するためには,学校の外で仕入れてきた知識や経験とは異なる体系が必要である。そこで国語や算数でも学問上無意味な複雑さが取り入れられている。

 たとえば算数の文章題において,「りんごが3個入った袋が4つある。りんごは全部でいくつあるか」という問題が出題されたとき,解答が12個であるのは良いとして,解を導くプロセスが指示通りであるかどうかが検証される。数学が得意な人によれば,このプロセスを表す式としては,

  1. 3×4=12
  2. 4×3=12
  3. 2×6=12
  4. 6×2=12
  5. 1×12=12
  6. 12×1=12

のいずれも正しいらしい。しかしいずれも可と教えてしまうと人の話を聞いていたかどうかの区別がつきにくい。人の話を聞いていなければ正解できる確率が極端に下がるようにしておかねばならない。ここでは,かけ算は数字の小さい順に書くこと,左辺には偶数しかこないことを要求しておく。そうすると点数がもらえるのは3の式のみである。3以外の式を書いた児童生徒は人の話を聞いていないため,死亡する確率が他の児童生徒より高い。したがって社会全体で支えていかねばならない。

 近頃,漢字テストでとめ・はね・はらいなどを気にしないようになっているということが話題になっている。これも大問題である。きちんと指示通りに文字を書くことは大変な注意力を要するが,この程度の注意力は生きていくために必要である。従って漢字テストは次のようにするのが理想である。まず,きちんと書体を指定する。この際明朝体でもポップ体でも良い。そして採点にあたっては,正解の文字と書いた文字の重なり具合を画像処理によって確認する。Jaccard係数かMSE(平均二乗誤差)で点数を算出する。更に,漢字は筆順という要素もある。個人的な経験に過ぎないが,私の周りには,小学校で教わった筆順と異なる筆順で書いている人が何人もいた(当然,みな事故で死んだ)。筆順は話を聞いていない人をあぶり出す能力が大きい。よって漢字テストでは,特定の字画のみを書かせることにする。たとえば,「下線部を漢字に直して,平成明朝体で,4画目のみ書け」といった出題になろう。

 厚生労働省によれば,本年11月までに死亡災害で亡くなった人は696人である。最も多いのが墜落・転落,次いで挟まれ巻き込まれ,そして交通事故である。このうち何件かは避けられないものだっただろう。しかしそのほとんどは,過去の事例とほぼ同じであり,避けるためのルールも定められているものなのである。つまり,人の話を聞いていないか,聞いているがその通りにやっていないかのいずれかである。世間は後者が多いと思って対策をしているが,私は意外にも前者が多いのではないかと思う。一朝一夕で身につく能力ではないようなので,遅くとも小学校から教えるべきである。

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